舞−HIMEの静なつやら、ネギまのこのせつやらのイラストをちょくちょく描いてます。
月光
2007年04月25日 (水) | 編集 |
めったに更新しないであろうSSです。

暗いです。死ネタです。

このせつベースですが木乃香語りです。

了承して頂けたらどうぞ〜。


闇は深く、光は遠い。

空にはただ白く輝く月がたたずんでる。

その光は淡く、優しく二人の少女を包み込む。

一人の少女が腕の中にもう一人を抱え、一つの影となっている。




「…なぁ、せっちゃん。覚えてる?」

一人の少女が口を開く。

「初めてうちにキスしてくれた時…」

腕の中の少女は、ただ時の中に身を沈めている。

「『必ず幸せにします。』…って、言うてくれたよね?」

語る少女の顔には悲しい微笑みが浮かんでいる。

まるで戻らない過去にすがりつくように。

語りかけられている少女はただ言葉を受けるのみ。

まるで過去は戻らないと諭すように。

「とっても嬉しかったんよ。…それだけやない。うち、せっちゃんと一杯一杯、一緒に過ごせて、
 ほんまに…ほんまに…幸せ…やったん…よ?」

少女は溢れてくる何かを拒むように、俯き唇をかみ締める。

震える少女の白くなった唇から紅い糸が流れていく。

その糸は周りに散っている紅い模様の中に溶け込んでいった。

「せやから…『すいません、幸せに出来なくて』なんて言わんで…良かったのに…」

俯いていた顔を上げた少女の目から、律する事の出来なかった感情の雫が零れ落ちた。

それでも少女は微笑みを浮かべる。

まるでそれが己の義務のように。

まるでそれが己の権利のように。


「うちは幸せやったんやから…」


少女は言葉を紡いだ。

眠っているように、穏やかに目を閉じている少女に向かって。

例えその言葉が闇に溶け込んでいくだけだとしても。

愛しい者に届くと信じて。


『ありがとう、このちゃん―――』


「!!」

微かな風が起こしたざわめきに沿い

愛しい者の声が聞こえた気がした―

語っていた少女の唇が一瞬震え、微笑みの形が崩れる。

しかしゆっくりと、再び微笑んだ。

「ほんまに…律儀なんやから…。せっちゃん…らしい…わ…。」

少女の目からはとめどない雫が零れ落ちていた。

それでも微笑みながら―

少女は腕の中の少女へゆっくりと顔を落としキスをした。

ゆっくり―

ゆっくり―

最後の触れ合いを心に刻み付けるように…

最後の触れ合いに心をとどめて置くために。




流れる風は静かに、微かに、ただ穏やかに、穏やかに音を奏でる。

悲しみに二人をうずめぬ様に―。

優しさを二人に重ねる様に―。

月光は白く、淡く、ただ優しく、優しく二人を包む。

闇に二人をうずめぬ様に――。

光を二人に重ねる様に――。


コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック